| 1971年 全日本フォーク・ジャンボリー音源 | 
    
      | 1971年夏に岐阜県中津川・椛の湖畔で開催された野外コンサート『第3回全日本フォーク・ジャンボリー』における
      8月7日(とされている)のガロのライヴ録音が、マッシュルーム・レーベルではない各社から、3曲発表されている。 オリジナル曲の「たんぽぽ」と、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのカヴァー2曲「ティーチ・ユア・チルドレン」「オハイオ」で、どのアルバムに収録されているのも同一テイクだが、MC部分の編集には違いがある。
 (なお、同コンサートの音源は、当時キング・レコードやURCからも発売されたが、それらにガロは未収録)
 
 また、「青い眼のジュディ」と「ユー・ドント・ハヴ・トゥ・クライ」(いずれも、クロスビー、スティルス&ナッシュのデビュー・アルバム収録曲)の2曲も演奏され、その録音テープも残っているとのことだが、未発表。
 
 このコンサートの模様はテレビマン・ユニオンが撮影し、45分に編集したものがあるという。
      しかし、ビデオ化などはされていない。
      ガロが写っているかどうかは不明。
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      |  1971年10月25日にビクターから発売されたライヴ・LPアルバム(レコード番号:SF-1012)に、「たんぽぽ」が初収録。
 同月10日に発売されたばかりのデビュー曲のライヴ盤が別会社からリリースされたことになる。
 MC部分は編集されて、曲紹介の一言だけ。
 また、この後もビクター系のオムニバス・アルバム(LP/CD)には、このテイクが何度か使用されている。
 このままCD化もされた(CD番号:VICL-18218)。
 |   続けて、1971年12月にフィリップス・レーベル(日本フォノグラム)から発売されたライヴ・LPアルバム(番号:FX-8519)には、「たんぽぽ」に加えて、「ティーチ・ユア・チルドレン」が初収録。
 「たんぽぽ」は「タンポポ」とカタカナ表記されている。
 MC部分も、左記アルバムより、ほんの少しだけ長め。
 このままの形では未CD化だが、1988年発売の下記のCD
      『1971フォーク・ジャンボリーVOL.2』には、この2曲が収録された。
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            | J-ROCK EARLY DAYS STRONG SELECTION |    その後、ずいぶんと年月を経てから、突如このコンサートのエレクトリック・セットでの音源が初めて世に出た。
 1989年8月25日にキティレコード(販売はポリドール)から発売されたURCレーベルのオムニバスCD(番号:H20K25020)に「オハイオ」が初収録。
 MCは入っていない。
 |   1998年6月24日にURCレーベル復刻シリーズの1枚として、東芝EMI
      から発売されたオムニバスCD(番号:TOCT-10297)。
 これは、左記の『J-ROCK EARLY DAYS』収録曲を中心にした、その再発に近い編集盤だった。
 「オハイオ」も、左記と同じ内容で再収録されている。
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      |   1998年8月7日(収録日と同じ月日!)に、やはりURCレーベル復刻シリーズとして、東芝EMI
      から CD2枚組で発売(番号:TOCT-10384/10385)。
 これは、上記の『メッセージ・フロム・中津川』の再発的要素もあるオムニバス・ライヴ盤で、「ティーチ・ユア・チルドレン」と「たんぽぽ」が再収録された。
      「ティーチ・ユア・チルドレン」は、初CD化。
 特筆すべきは、MC部分が、おそらく未編集のまま初収録されていることで、メンバー間のリアルなやり取りを聴くことが出来る(それによると、当日は「一人で行くさ」も唄われる予定だった?)。
      ただし、『メッセージ・フロム・中津川』に入っていた冒頭のMC「どうも、ガロでございます」だけは欠落。
 ジャケット、CDのピクチャー・レーベル、歌詩カードに、ガロのエレクトリック・セットのステージ写真(「オハイオ」演奏中?)を使用。
      ちなみに、『〜VOL.1』(ガロは未収録)も同デザイン。
 
 
 これが廃盤になった後、2003年12月10日にURC復刻シリーズとしてavex(エイベックス)から同タイトルの2枚組CD(番号:IOC1-41020/41021)が発売されたが、同シリーズの他のCDと同じく収録曲には変更があり、特にガロの音源は全部未収録となった。
      やはり、メンバー間の「リアルなやり取り」部分が問題になったのだろうか…。
 むしろ、当時演奏された未発表曲がこの機会に世に出て欲しかったと思わざるを得ないが、実際にはそうしたガロ・ファン(に限らず)の期待とは正反対の方向へと企画が進行したことは実に残念。
 もっとも、かの「はっぴんえんど」でさえ、2004年3月31日に発売されたボックス・セットで初めて1970年と1971年のフォーク・ジャンボリー全音源がまとめられた位なのだから、…今後の画期的な新展開に期待しましょう。
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      | 「たんぽぽ」 (2分31秒=CDでの実測タイム) ガロのデビュー・シングルになった曲で、ファースト・アルバム『GARO』にも収録されているが、このコンサートの時点では、まだ発売されていなかった(そうした理由もあってか、上記フィリップス盤『メッセージ・フロム・中津川』や、その後に同音源が収録されたビクター系オムニバス盤では、「タンポポ」とカタカナ表記されているケースが見られる)。
 ここでは、生ギター2本によるアコースティック・セットで、歌の2番とその後の間奏部分を省略した演奏。
      スタジオ版より、わずかにテンポが遅い。
 この曲の冒頭で、「はっぴいえんどの細野さん、次ぎ出番ですので…」の場内アナウンスが聴こえる。
 
 「ティーチ・ユア・チルドレン TEACH YOUR CHILDREN」 (2分58秒=CDでの実測タイム)
 ガロが初期にお手本としたクロスビー、スティルス&ナッシュに、ニール・ヤングが加わって1970年に発売されたアルバム『デジャ・ヴ』収録曲で、シングルにもなったグラハム・ナッシュの曲。
      映画 『小さな恋のメロディ』に、ビー・ジーズの曲と共に使われたことでも知られている(同映画のサントラ盤にも収録)。
 クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのスタジオ・ヴァージョンには印象的なスティール・ギターがフィーチャーされているが(グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアが演奏)、1971年発売のライヴ・アルバム『4・ウェイ・ストリート』では生ギターのみのアレンジだった。
 ここでのガロの演奏は、そのライヴ版を参考にしたと思われる生ギター2本によるアコースティック・セットだが、オカズのフレーズはあまり入れず、リズム・ギターに徹した演奏。
      唄い方はスタジオ版に準じているようだ。
 
 「オハイオ OHIO」 (4分46秒=CDでの実測タイム)
 同じくクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの1970年のシングル曲で、ニール・ヤング作のハードなプロテスト・ソング。
 『4・ウェイ・ストリート』には、ほぼ同アレンジのライヴ・テイクを収録。
 ここでのガロ版もベースとドラムスが加わったエレクトリック・セットで、ニール・ヤングらしい、つんのめる感じのエレキ・ギター・リフもフル・コピーした演奏だが、リフレイン部分を増やした構成の、オリジナルより長いヴァージョン(オリジナルのスタジオ版は3分00秒、ライヴ版でも3分25秒程度なのに、ここでのガロ版は4分46秒もある)。
 
 そのベーシストとドラマーが誰かが不明なのだが、ファースト・アルバムをレコーディングしていたという時期を考えると、ベース=武部秀明、ドラムス=原田裕臣か?
 (ちなみに、ファースト・アルバムに参加したもう一人のベーシストである山内テツはこの時、渡英していた。
      また、この時のステージ写真を見ても、ベーシストは体型からして明らかに山内テツではないが、遠景なので誰かは判明しない)
 
  ⇒その後の情報 後のアルバム『GARO 3』同様、この中津川でもガロのバックバンドとして小原礼(ベース)と高橋幸宏(ドラムス)が参加していたという話もあるのだが…。
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      | さて、疑問点が2つある。 
 1)レコードでの「たんぽぽ」と「ティーチ・ユア・チルドレン」のヴォーカル配置は、堀内護を中央にして、右チャンネルが日高富明、左チャンネルが大野真澄となっているが、「オハイオ」では左右のメンバーの位置が逆。
 上記のCD 『1971フォーク・ジャンボリーVOL.2』に使われているエレクトリック・セットのステージ写真(右の上の写真も同じ時の別ショット)を見ると、「オハイオ」の音の配置と同じで、大野が右にいる。
 となると、アコースティック・セットの時には何故か並び方を変えたのか?
 
 ところが、同じく上記のLP 『メッセージ・フロム・中津川』のジャケット裏には、アコースティック・セットのステージらしき写真(右の中央の写真)が掲載されているのだが、「たんぽぽ」「ティーチ・ユア・チルドレン」の音の配置とは逆で、やはり大野が右側に位置している。
 このジャケット内側には、「写真提供
      新譜ジャーナル(佐伯頼光)」とのクレジットがあるが、ガロの写真が確かにこの時のものだとしたら、レコードのミックス時に左右チャンネルを逆にミックスしたということになるのだが…。
      そうだとしても、何故?
 (この写真は、同年12月に同じくフィリップス・レーベルからリリースされた、ガロも参加したティーブ釜范&かまやつひろしのアルバム『FATHER&MAD
      SON』にも使われている)
 
 ⇒その後の情報では、ガロは全活動期間を通して、堀内護を中央にして、右が日高富明、左が大野真澄という並び方を崩さなかったらしい。
 となると、この中津川のエレクトリック・セットでは既定のアンプ等の配置のために例外的に位置を変えたのではないか。
 そしてアコースティック・セットでは音源の方の左右位置が正確であって、ここでの写真は裏焼きではないのか。
 以上のように一応は判断されるのだが…。
 
 ⇒その後の情報 2
 後で見付けた右の下の写真は、上記の『'71全日本フォークジャンボリーライブ第一集』オリジナルLPの見開きジャケット内に掲載されていた写真で、中央の写真と同じステージのようだが、これを見るとエレキ・ギターを弾いている!
      トリミングされた中央の写真では、座っているように見えたので、アコースティック・セットかと思ったのだが(ただし、ベーシストとドラマーの姿は見えない)。
 とにかくエレクトリック・セット時の並び方は「オハイオ」の音源通りということが再確認されたわけだが、逆にアコースティック・セットでの写真は無いので、その時の並び方と音源の配置の関係は不明のまま。
 中津川で生ギターを弾いている写真が何処かにないものでしょうか?
 2)資料によれば、ガロの出番は8月7日の夜7時頃だったとされ、上の写真の下2枚は暗い中で撮られたもののようだが、一番上の写真では、かなり明るい時間帯に見える。
 音源が残されているという5曲の中で、わざわざベーシストとドラマーが加わってのエレクトリック・セットが「オハイオ」1曲だけというのも妙な気がするし、ひょっとしたら、エレクトリックとアコースティックで、昼と夜に2ステージあったのだろうか?
 となれば、演奏された曲は5曲以上にあったはずだが…(もっとも、残っているという「青い眼のジュディ」と「ユー・ドント・ハヴ・トゥ・クライ」の音源は未聴なので、オリジナルのクロスビー、スティルス&ナッシュ版ではアコースティック・アレンジのこの曲を、あえてエレクトリック・アレンジで演奏している可能性も無いわけでは無いが)。
 
 また、このエレクトリック・セットでのベーシストとドラマーが誰なのかも不明(上記の「オハイオ」の欄参照)。
 
 ⇒その後の情報
 後で見付けた右上の下の写真では、夜間に見えるがエレキ・ギターを弾いている。
 昼と夜に2回は出番があったと判断されるにしても、前述のようにエレクトリックとアコースティックで別々に2ステージということではなかったようだ(この写真では、後方に生ギターが立てかけてあるのが見えるし)。
 そうすると、1)の疑問のように、同じステージ中にわざわざ並び方を変えたことになってくるが…。
 それとも、やはりアコースティック・セットの音源が左右逆にミックスされているということなのだろうか?
 
 ⇒その後の情報 2
 当時の関係者の話では、やはりガロのステージは1回だけではなかったとのこと。
      しかし、それ以外の詳細は不明。
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      | ⇒2003年4月に平間克生さんから下記の情報・ご意見が寄せられましたので、転記させていただきました。 
        
          
            | ・小原礼について 前田祥丈・平原康司編著の『60年代フォークの時代』(シンコーミュージック)の198頁に71年中津川の写真が何枚か掲載されており、その中に「CS&Y(ママ)ばりのハーモニーを聞かせたガロ」というキャプション付きのガロの演奏中の写真があります。
 夜間のようです。 並びはステージに向って左から大野、堀内、日高という通常の順番です。
            堀内、日高は座って演奏しているように見えます。
            インスト・パートらしく、堀内と日高がアコースティック・ギターを弾いている様子を大野が横を向いて見ています。
            その横に小原礼が「立って」います。 小原はベースを持っておらず大野と同じく、堀内、日高の弾きぶりを見ている様子です。
 マイクの感じから確かに71年中津川の写真と推察されるのですが、これが確かに中津川での写真だったとすると、小原礼は確かに中津川に行っていたし、ガロと同じステージに「立って」はいたということまでは確認できると思います。
 
 ・ドラマーについて
 宝島編集部編『日本ロック大百科・年表編(1955〜1990)』(JICC出版局)という本の48頁に中津川のステージ裏から客席側を撮った写真が掲載されており、後ろ姿で顔は見えないのですが、体つきや服装からガロと見て間違いないと思われます。
            この写真は結構見かけたことがあるような気がします。
 並びはステージに向って左から日高、堀内、大野という通常とは逆の並びです。
            弾いているギターは右腕の下の空間の空き具合からエレキとも思われますが、ケーブルが出ていないようにも見え、はっきりしません。
            で、この写真の左端にドラムス(シンバル)の前にすわっていると思われる人物の後ろ姿(の一部)が写っています。
            これがこのステージのドラマーなのか、単にそこにいたスタッフがフレームに入ってしまっただけなのかはっきりしません。
            また写真がこの人の右肩のあたりで切れているので誰なのかも確認できません。
            この写真のもうちょっと左まで写っている版があれば、いろいろわかると思うのですが。
            この体つきは高橋幸宏? 違うような感じがするのですが…。
            それともやはりこれは単にスタッフがフレームに入っただけという可能性が大きいかも…。
            とりあえずこういう資料もあるということでご紹介しました。
 
 ・ガロの出演時間について
 鈴木勝生著『風に吹かれた神々』の71年中津川に関するパートの中に次のような主旨の記述があったと記憶します(以前立ち読みした切りで現物を入手しそこなったため、正確なページ数の摘示および引用はできません)。
 いわく、<CSN&Yの緻密なコピーをする実力派として前評判が上がっていたガロが昼間の公開リハーサルでも噂どおりの充実した演奏を披露し、観客から高い評価を受けた…云々>。
            この本によると(確かメインステージの)夜の部の演奏の公開リハが昼間の時間帯に行われていたということだったと思います。
            であれば、これまでに公開されている71年中津川での昼間のガロのステージ写真はこの公開リハーサル時に撮影されたということも考えられると思われます。
 そうすると、この時のガロの演奏は昼、夜の本番2回とプラス昼間の公開リハという都合3回だったのか、あるいは本番1回と公開リハの都合2回だったのか、(あるいはもっと多かったのか)という疑問もまた生まれることになります。
            なんとなく、メインステージとサブステージの最低各1回づつの本番があって、それにプラスして公開リハがあったんじゃないか、という気が常識的にはしますが、実際のところはどうなのでしょうか。
 
 それよりもこの時のガロの演奏を、曲の重複があってもいいから、各ステージひっくるめて全部CD化してもらいたいものです。
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