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ザ・タイガース 映画出演リスト
ドリフターズですよ!前進前進また前進 (ゲストでの映画初出演)
ザ・タイガース 世界はボクらを待っている (映画初主演)
クレージー メキシコ大作戦 (沢田研二のみゲスト出演)*上記ページに併記
ザ・タイガース 華やかなる招待 (主演映画第2作)
ハーイ!ロンドン(主演映画第3作)
日本一のヤクザ男(沢田研二のみゲスト出演)
・喜劇 右向けェ左!(タイガースとして最後にゲスト出演した映画)

タイトル/ポスター 歌唱シーン
喜劇 右向けェ左!
通常サイズのポスターは手元にありませんが、やはりタイガースの写真は使われていないと思われます…
素晴しい旅行 (2分50秒=映画よりの実測)
ストーリーとは関係なく、この映画の主な舞台である自衛隊基地での一般解放日? に開催された歌謡ショーのゲストとして唄うという設定(ステージの背景に「自衛隊創立20周年記念祝…」の看板が映るが、確かに自衛隊の前身である「警察予備隊」が創設されたのは、この映画が公開された年の20年前の1950年、それは太平洋戦争敗戦の5年後のことだった。 ちなみに「自衛隊」となったのは1954年)。

残念ながら歌と演奏はレコード・テイクで、それに合わせてのクチパク映像。 ファズ・ギターのイントロからほぼ完奏するが、エンディング部分で急速にフェイド・アウト(続けてステージには布施明が登場して「冬の停車場」を唄う)。

歌の冒頭では、まず威風堂々たる自衛隊行進の実写フィルムが映し出された後、突如カット・インしてタイガース登場。 青空の下、何と本物(のはず)の戦車の上にメンバーが登って演奏しながら唄うショットだ(さすがにドラムスだけは戦車の前)。 当然に、ビートルズの主演映画第2作 『ヘルプ!』でのシーンを彷彿させるが、この日本においてはシュールと言ってもいい程の、ちょっと信じられない絵柄。 おそらく、渡辺晋社長と当時の防衛庁長官であった自民党の中曽根康弘(後の首相)の深い交流の中で実現したものと思われるが(もっとも、この映画の企画自体がその辺りから生まれたのだろう)、このショットを撮ることは前田陽一監督の希望によるものであろうか(ちなみに、作家の三島由紀夫が東京・市ヶ谷の陸上自衛隊の総監室で、自衛隊に幻滅して割腹自殺したのは、この年の11月25日だ)。

画面では続けて自衛隊の海や空での雄姿も映され、それらがタイガースの映像とカット・バック。 いつしかタイガースもステージ上で演奏しており、メンバー5人それぞれのフル・ショットもある。
なお、その舞台を見ていた(ザ・スパイダースの)堺正章と井上順之の会話シーンが歌のエンディング部分にあるが、井上の「どっちかというと私はスパイダースの方が好きですなァー」なんて楽屋落ちのセリフも。

さて、松竹専属の前田監督がどういう経緯で東宝系の映画を撮ることになったのかは不明だが、前田監督は反骨の映画作家だったので、こうしたショットも間違いなく皮肉のつもりで撮ったはずだ。 この歌の冒頭の自衛隊の実写部分でも、これみよがしに延々と場面を重ねているし。
しかし、そのわざとらしさにもかかわらず、渡辺プロ側は体制派監督だとカン違いしたのかもしれず、同じく渡辺プロ製作、東宝系公開の映画 『喜劇 昨日の敵は今日も敵』を翌年のゴールデン・ウィークに、さらに1年後の正月映画 『起きて転んでまた起きて』も続けて前田監督が撮っている(いずれも、クレージーキャッツの植木等主演映画の併映作品で、堺正章、いかりや長介、なべおさみ、吉沢京子等が出演)。

そして、その翌年にはホーム・グラウンドの松竹で当時人気絶頂だった天地真理の主演映画第1作『虹をわたって』(沢田研二や岸部シロー、萩原健一も出演しているが、この時の存在感は昔の名前で出ています的)を監督したが、この作品ではホーム・グラウンドでの作品ということもあって前田監督の本領が発揮され、清く正しく美しい絵空事のアイドル映画に留まらない人間喜劇の傑作となった。 だが、その第1作がヒットしたにもかかわらず、天地真理主演第2作の監督は外されることになる。 やっと渡辺プロも、前田監督が単なる喜劇専門の御用作家ではないことに気付いたのであろう。
データ
1970年12月31日(木曜日)封切
東宝系公開
同時上映:『日本一のワルノリ男』(こちらがメイン作品)

渡辺プロ作品/東宝配給
上映時間 1時間23分
製作=渡辺晋+大木舜二/脚本=石松愛弘+高畠久+前田陽一/監督=前田陽一/撮影=梁井潤/音楽=山本直純
出演=堺正章/なべおさみ/井上順之/ザ・タイガース/布施明/吉沢京子/木の実ナナ/小川ひろみ/犬塚弘/いかりや長介/他
この作品に関しては、ビデオは現在も過去においても発売されたことがないようだ。
筆者は数年前に名画座で観たが(上記の歌唱シーンの記述は、その際のプライベート・テープを基にしています)、それ以降、最近までTV放送もされていないはず。

しかし、封切当時はクレージーキャッツ映画の併映作品というウエイトだったが、芸達者も多数出演しているし、前田陽一監督も日本映画マニアには人気のある作家の方なので(ま、この作品は前田監督の代表作ではないにしても)、今後のビデオ化や衛星放送等での完全放映に期待したい。
ちなみに、左上欄に掲載したポスターは通常のB2サイズを縦に倍にしたタイプだが、「ザ・タイガース」とのクレジットはあるにしても、その写真は無い(劇中ではほとんど同じ扱いの布施明が写っているにもいるにもかかわらず)。 やはり、解散が公に発表された後なので、意識的に外されたのだろうか。
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